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土砂災害について
日本では毎年のように土砂災害が発生し、生命や財産、生活基盤の損失など多大な被害を生じています。
→これまでに起きた主な土砂災害の一覧
写真左から、兵庫県南部地震による仁川地すべり、鳴滝崩壊(長崎豪雨)、熊本県水俣土石流
土砂災害とは
土砂災害は、山や崖などの斜面を構成する岩石や土などが重力によって下方に移動を起こすことによって生じる災害です。
土砂災害を引き起こす斜面変動には、「地すべり(地滑り)」、「土砂崩れ(斜面崩壊)」、「土石流」、「岩盤崩落」など様々なタイプがありますが、
これは斜面を構成している物質(土・岩石・崩積土)の性質や、それが水をどの程度含んでいたか、
また斜面勾配や植生など移動する経路の状況などによってその移動様式が変化します。
それぞれの移動様式によって被災の状況が変わってきます。また、どの様に防ぐかの対策も変える必要があります。
土砂災害の素因と誘因
日本の国土の70%は山地から構成され、しかも断層による破砕帯や火山噴気や温泉による変質、さらに温暖な気候条件による風化などが加わり、
脆弱な地形・地質条件、すなわち斜面変動が起きやすい自然条件(素因)となっています。土砂災害を引き起こすトリガー(誘因)としては、
豪雨、長雨、地震、火山噴火、融雪、人為的改変など様々ありますが、日本ではいずれの誘因も大きく作用します。
しかし、地震など発生予測が難しい誘因もあり、また誘因ごとに不安定化のメカニズムも異なることから、土砂災害の発生予測は難しいのが現状です。
防災科学技術研究所では土砂災害の軽減を目指して、以下のような研究を進めています。
防災科学技術研究所における土砂災害研究
「地すべり地形分布図」の刊行とWEB公開
地すべり災害は過去に地すべりを起こした場所で再発することがしばしばあります
(→地すべり地形で起きた地すべり変動)。
そのため過去に地すべりを起こした斜面をあらかじめ知っておけば防災に生かすことができます。
防災科研では過去に地すべりを起こした場所に残された地形的痕跡(地すべり地形)を
空中写真を用いたマッピングにより見つけ出し、その場所と範囲を示した図面(地すべり地形分布図)の作成を進めています。
その成果を「地すべり地形分布図」(印刷図)として刊行し、
web-GISなどの技術を用いて地すべりに関する情報公開を行っています。
降雨による土砂災害発生予測システムの高度化
雨によって起きる土砂災害の予測技術の高度化を進めるため、MPレーダによる高精度の予測雨量を活用し、表層崩壊の危険域予測技術、崩壊発生時刻の早期予測技術、実地形を考慮した崩壊土砂の被災範囲予測技術を高度化し、土砂災害発生予測システム(Lapsus)を構築しています。
この研究はマルチパラメータレーダを用いた土砂・風水害の発生予測に関する研究の中で実施しています。
土砂災害の調査・研究
大きな被害を出した土砂災害に関しては被災地における調査や資料収集に基づいて災害の素因・誘因などの解析を行ない、土砂災害の発生状況や発生原因、 災害の教訓などを取りまとめるための調査・研究を行っています。 また、これまでに防災科学技術研究所で実施した各種災害調査の報告書は 主要災害調査報告として刊行されています。
土砂災害から身を守るには
防災の基本は「自分の身は自分で守る」ことです。特に土砂災害は限られた範囲の変動でも深刻な災害を生じることから、 個人や地域単位の個別の対応が必要です。
危険な場所には住まない、近づかない
あらかじめ危険な場所を知っておくことが大切です。そのためには自治体等から配られている防災マップ(ハザードマップ)を確認しておくことが必要です。
最近ではインターネット上にマップを公開している自治体も多くなりました。また、土砂災害は過去に生じた場所で起きることが多いので、地元に伝わる古い
災害の伝承や記録を調べるとともに、地形的な特徴や斜面変動で堆積した土砂の存在などを手がかりに、有史以前に起きた場所を調べておくことも大切です。
例えば、近所で地面を掘る工事が行われる際に、地面の下に土石流で運ばれた大きな礫が堆積していないかどうかを確認することができます。
防災科学技術研究所では過去に地すべり変動が生じた場所のマッピングを全国的に実施し公開しています。
こういった地すべり地形を呈する斜面は
変動を起こす事があるので注意が必要です。
早めの警戒避難
大雨警報・暴風雨警報などが発令された時には早めに安全な場所に避難することが大切です。自宅が心配だからといって裏山に様子を見に行ったりすることは 禁物です。危険な場所に近づいて被災され亡くなった方は少なくありません。また、土砂災害の前兆現象(地面の亀裂・段差、斜面から小石の落石、異常な音や匂い、 河川水位の急激な変化等)を見聞きした時は、直ちに関係機関に連絡するとともに、周りに呼びかけつつ早急に安全な施設に避難することが肝要です。

