地すべりとは?

 地すべりとは斜面の一部あるいは全部が重力によって斜面下方に移動する現象です。
一般的には、降雨、融雪による地下水の上昇や地震・火山活動による斜面形状の変化、あるいは人為的な改変などをきっかけに斜面上の物質が不安定化して発生します。
 日本語の「地すべり(地滑り)」の用語は、英語のLANDSLIDEと異なり、従来は比較的ゆっくりと継続的に滑動する斜面変動をさす場合が一般的でした。しかし最近は、英語のLandslideと同じように「地すべり(地滑り)」を使おうという研究者も増えていますので、留意が必要です。

澄川温泉地すべり  クリックすると大きな画像が開きます

 上の写真は1997年に融雪によって発生した秋田県鹿角市の澄川温泉地すべり発生直後の写真です。
 残雪で覆われた斜面の土の見える部分(赤線)が地すべりを起こした範囲です。
 この地すべりによって二つの温泉旅館が全壊しました。この地すべりが発生した範囲は防災科学技術研究所の地すべり地形分布図に図示されていました。地すべりの再滑動の一例です。

地すべり地形とは?

 地すべり地形は地すべり変動によって生じた(もしくは生じつつある)地形の総称をいいます。地すべり地形の有無とその状況から当該斜面での過去~現在までの斜面変動の履歴を明らかにすることができます。
 地すべり変動と地すべり地形の関係については、以下の模式図とその解説を参考にしてくださ い。

地すべり地形の模式図

 「移動体」は安定化して斜面上を移動した斜面物質の全体を差します。移動体は滑動による変形を受けて特有の形状を呈します。また内部の副次的な変動によって亀裂や凹地などを生じる場合があります。移動体の上方には移動体が抜け落ちた跡に急な斜面が現れますが、それを「滑落崖」と呼びます。場合によっては滑落崖の背後に新たな変動によって、後方崖という小崖もしくは亀裂が生じることがあります。

地すべり地形分布図上に図示されている地すべり地形について

 防災科学技術研究所では長年にわたって地すべり地形の判読を広範囲に進め、日本各地における地すべり地形の分布状態の把握を行なっています。
 防災科学技術研究所で現在、判読の対象としているのは、4万分の1のモノクロ空中写真で認識でき、5万分の1地形図に実形で図示できる規模の地すべり変動です。そのため幅ないし奥行きがおおよそ100m以上の変動地形です。これまで日本で使用されている用語で言えば 「地すべり(地滑り)」「地すべり性崩壊」「大規模崩壊」あるいは「大規模地すべり」さらに「基岩のクリープ」等にあたります。
 それ以外の「ソリフラクション」「表層クリープ」「表層すべり」「土石流」「落石」などについては特別の場合以外は判読・図示していません。