七五三掛(しめかけ)地すべり周辺の地すべり地形の再判読を実施
2009年6月4日公開
1 七五三掛地すべり周辺の既存の資料
山形県鶴岡市の七五三掛(しめかけ)地すべりは、2009年2月から変動が観測され、同年4月下旬より住民の自主避難が続いています。防災科学技術研究所が1988年に刊行した地すべり地形分布(図1)によると、現在変動が継続している七五三掛地すべりは、より大きな地すべり地形の末端に位置していることが図示されています。
図1 地すべり地形分布図「湯殿山」(※)
※防災科学技術研究所(1988):地すべり地形分布図第4集「村上・佐渡」、防災科学技術研究所研究資料第109号より1:50,000地すべり地形分布図「湯殿山」
2 七五三掛地すべり周辺の地すべり地形の再判読
防災科学技術研究所では、七五三掛地すべりとその周辺の大規模地すべり地を含む範囲について地すべり地形の再判読を実施しました(図2)。この結果、今回変動している範囲は、地すべり地形の小ブロックとして過去に変動を起こしていたことが判明しました。判読に用いた写真は1973年の4万分の1モノクロ空中写真(国土地理院撮影)です。
図2 七五三掛地すべり周辺の地すべり地形の再判読範囲(判読:清水文健、1:25,000地形図「大網」をベースに判読結果を記入した)
図2を含む1:25,000「大網」全体のPDF(7.41MB)
3 再判読の結果:七五三掛地すべり周辺の地すべり地形について
既刊の地すべり地形分布図(図1)では、七五三掛地すべりの親地すべりは、幅2.5km、奥行き3.7kmの巨大地すべりで3つのブロックに分かれるとされ、七五三掛地すべりはその最西部のブロックの下半部に相当するとされていました(図1)。
再判読の結果、七五三掛地すべりは、その巨大地すべりとは別に存在する幅0.7km、奥行き1.3kmの地すべり地形の2つの小ブロックにまたがる範囲が再滑動したものと判読されました。また、これらの中でもっとも新鮮な地すべり地形を呈していることが分かりました。今回の変動領域は最後に変動したブロックとそれ以前に変動したブロックの一部を巻き込んで再滑動したものと推定されます(図3)。
既刊の地すべり地形分布図によると、七五三掛地すべりから東方へ延長10kmにわたって巨大な地すべりが数個並んで分布している様子が観察されます。これは、この地域の地下に共通の滑りやすい地質が広がっていることを示唆しています。七五三掛地すべりの今後の対策においては、広域的な地すべり地形の分布状況やその共通要因も考慮した対策が求められます。
図3 七五三掛(しめかけ)地すべり周辺の拡大図(赤いラインは、七五三掛地区の地すべりによる亀裂の発生状況(※))
※山形県庁農村計画課施設保全班による報告(2009年5月29日時点)を防災科学技術研究所の地すべり地形判読図に重ね合わせて表示した
(独)防災科学技術研究所 防災システム研究センター 地すべり変動研究チーム

